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おつかれさまでした、フジ 【追悼】 [鯨類]

11月1日、沖縄海洋博公園(美ら海水族館)で飼育されていたバンドウイルカ、フジが死んだ。
人工尾ビレのイルカとして、映画や本、TVなどで取り上げられた、あまりにも有名な個体である。フジの名は知らなくても、人工尾ビレのイルカと言えば、思い出す人も多いのではないだろうか?
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死因は感染性肝炎とのことで、年齢は推定45歳だったそうだ。
直接の死因はその感染性肝炎なのかも知れないけれど、45歳と言えばかなりの高齢である。日本記録とまではいかないものの、ほぼ天寿を全うしたと言っていい年齢じゃないかと思う。

フジは1976年、静岡の伊東で捕獲され、沖縄へと運ばれた。
ショー嫌いな個体だったそうで、ショーで活躍することはあまりなかったようだけど、子育てのうまい母親イルカだったらしく、3頭のお母さんでもある。
ここまでは、飼育下のイルカの話としてはごくごくありふれたエピソード。
そんなフジが“特別な”存在になってしまったのは、やはり2002年に病気で尾ビレを失ってしまってからだろう。
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“特別”と言っても、種としては日本全国で300頭近くが飼われている、よく知られたバンドウイルカである。
でも、フジが“特別”だったのは、人工尾ビレを装着したからではなく、イルカの尾ビレや体の作りの素晴らしさ、そしてその素晴らしい作りの尾ビレを、人が持つ技術で機能的には近いものが作り出せたこと、そしてそれを装着することで、完全ではなかったのかも知れないけれど、イルカが持つ本来の動きを取り戻せたことなど、人工尾ビレを介して、様々なことを知ることができたからなんだと思う。
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フジは人工尾ビレが何たるかちゃんと理解していて、自ら尾を差し出すようになったのだとか。オレが見た頃には装着もスムーズだった。

水族館で行われているイルカショーは、イルカの持つ能力の凄さを分かりやすく紹介するためのものだが、フジはショーでの活躍という形ではなく、人工尾ビレなんていう、それこそ前例のないものを装着することによって、イルカの素晴らしさを教えてくれたのだ。
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尾ビレを失うというのは、当のフジにとってはこの上ない不幸なできごとだったのだろうけど、お陰で我々は、通常、飼われているイルカや、ショーでの活躍だけでは知り得ないことをいろいろと教えてもらうことができたのだ。

フジが海洋博公園で暮らした38年の内、オレが知っているのはたったの5年だけでしかないのだけど、あれだけ有名で、かつ高齢な個体だというのに、プールを覗き込むと、とりあえず1度は寄ってきて、顔を見せてくれる、そんな愛想のよさがある個体だった。
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また、尾ビレを失って長い時間が経過していたからか、人工尾ビレを装着していない時でも、それなりに泳げるようになっていて、イルカが持つ、あるいはフジならではの素質なのかは分からないけれど、適応力の高さでも驚かせてくれた。

人工尾ビレの開発を思い立ち、それをフジと共に最前線で開発した水族館スタッフの人たち、そしてそれを技術で形にしたブリヂストン、それらすべてがいちいちスゴイ話だった。

フジは高齢だったから、いつかはこんな日が来るのだろうと思っていたけれど、実際に来てしまうと、やはり残念だし、イルカラグーンプールに行けばいつもそこにいたはずのフジが、次に行く時にはいない… そう思うと寂しくもある。
できることなら、人工尾ビレを装着したジャンプを見てみたかったなぁ…

でも、先にも書いたように、フジがいたからこそ知ることができたことは沢山あった。
だからやっぱり、ありがとう、なのだろうね。
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